神道研究室

在野の神道研究者が神社の問題に鋭く切り込みます

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「安倍晋三」神社について

神社建立計画 「安倍元首相を神として祭りたい」 世界遺産の宮司が語る神社建立計画(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース 安倍晋三元首相を祀る神社を長野県に建立するというニュースが話題になっています。今回はこのニュースを神道研究者の観点から解説して…

『「戦前の」正体 愛国と神話の日本近現代史』読後評

「戦前日本」と神話 今回は講談社現代新書から出版された辻田真佐憲(つじた・まさのり)氏の著書について研究者として気になった点を述べたいと思います。 辻田氏は1984年生まれの評論家、近現代史研究者(新書の著者紹介に基づく)です。 本書のあらすじは…

質問回答(神宮・靖國神社)

神社本庁は神宮を本宗と仰いでいる。それなのに神社本庁が神宮を包括するのはおかしいのではないか? この疑問に対する神社本庁の見解は『神社本庁憲章の解説』で示されています。 私なりの解釈を加えて平たく説明しますと、「本宗」とは神宮が他の神社の頂…

神式同性婚はこれから

はじめに 神道がLGBTを否定していないことは過去に述べました。 神道とLGBTQ+ - 神道研究室 では、なぜ「神前同性婚」ができていないのか、今回はその点について検討します。 神前結婚式とは何か この問題を考える上でまず「神前結婚式」とは何か…

質問回答(本庁解散)

評議員会で出された動議は継続審議なのか? 国会だと会議を開催している間に議決も否決もされなかった案件は自動的に「廃案」になります。これを「審議未了」といいます。 庁規等の規則に「継続審議」や「〇〇預かり」という制度はありませんので、2つの動…

外苑再開発は神道的に正しいのか?

外苑再開発について これまで外苑再開発について、いくつかの視点から論評してきました。 創設の趣旨(明治神宮外苑の「創建の趣旨」とは何か? - 神道研究室) 財政(明治神宮は財政難だから外苑を切り売りするのか? - 神道研究室) コモンズ(明治神宮外…

統理は指名を拒否し続けることができるのか?

判決を受けて 2023年6月14日の高裁判決は一審同様、総長は役員会の議決で決定すると判断を下しました。ここで一審判決を再確認してみましょう。 【令和4年(ワ)第19636号 代表役員の地位確認請求事件】 本件条項は、総長の選任に際し、統理による総長の指名…

統理指名権という慣例

典故考究 お祭りの準備をしていて「去年どうだったかな?」と思ったことのある神職・総代は少なくないと思います。神社の祭祀においては前例・故実を重んじます。そして祭典を慣例通りに間違えなく執り行うためには、前の年はどういう風におまつりをしていた…

神社は合議制が基本

インタビューでの回答 「毎日新聞」2023年6月13日に掲載された神社本庁統理の鷹司尚武氏へのインタビューそこが聞きたい:内紛長期化の神社本庁 神社本庁統理・鷹司尚武氏 | 毎日新聞において「神社界での意見の食い違いを多数決で解決しようとするのは神社…

質問回答

①宗教と政治の関りについてどうおもうか? 今回はコメントにいただいた2つの質問に対し回答します。 重要なのは、宗教と政治が関わり合いを持つことではなく、宗教が政治と関わって何をするかです。政治家が宗教団体・宗教法人の会合に参加しようが、参拝し…

統理インタビューの衝撃

毎日新聞(2023年6月13日) 「毎日新聞」古賀攻氏(客員編集員)が聞き手となり、神社本庁統理の鷹司尚武氏に対しインタビューを行いました。 そこが聞きたい:内紛長期化の神社本庁 神社本庁統理・鷹司尚武氏 | 毎日新聞 その内容は極めて衝撃的であり、裁…

5月定例評議員会評

神社新報を資料に 今回は「神社新報」3637号(令和5年6月5日)の記事をもとに神社本庁5月定例評議員会の議事を考察していきます。 統理の指名が重要なこと まず「統理の指名が本庁にといふ組織にとって重要なものであることを確認する」という動議ですが、総…

『東洋経済』(7118号)読後評

オンライン版と雑誌版との違い 『東洋経済』7118号(2023年6月10日)は「消えゆく寺・墓・葬儀 宗教消滅危機」と題する特集が組まれ、そのなかに野中大樹記者の「[神社本庁]横領したのは神政連・打田会長の親戚 約3000万円横領事件が神社界「内紛」に与え…

藤原登コラム29号読後評

神道学栄えて… 藤原登氏の『レコンキスタ』(6月1日付)掲載コラム「神社本庁田中執行部は陥落寸前にー評議員会は北山議長のデタラメ議事運営で大紛糾ー」(神社本庁田中執行部は陥落寸前に|自浄.jp)において、東京農業大学初代学長の横井時敬の警句をもじ…

神社本庁憲章は規則か?

庁規は契約である そもそも宗教団体が国家(所轄庁)に規則を提出し、その認証を受けることで宗教法人になります。そのため「宗教法人「神社本庁」庁規」は宗教団体神社本庁と国家と取り交わした一種の契約であり、神社本庁はこの契約に基づき宗教法人として…

小林弘幸氏の「産穢」論を検証する

Twitterでの投稿 「小林弘幸」氏が初宮詣に関して以下のようなTwitter投稿をしました。 息子さんとの写真がないのは、残念でしたね。神社の立場で、古い感覚の話をします。まず、赤ちゃんの初宮参りですが、生後三十日の場合、産後のケガレがあるため、産ん…

神社本庁憲章制定過程から総長選出を考える

はじめに 花菖蒲ノ會は会報第10号において以下のように述べています。 「統理が指名するのは「宗教団体神社本庁の総長(A)」であって、「宗教法人神社本庁の代表役員(総長のあて職/B)」ではありません 要するに「神社本庁憲章」と「神社本庁役員その他の機…