神道研究室

在野の神道研究者が神社の問題に鋭く切り込みます

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

斎藤幸平氏の「コモン」論は現場から乖離している

外苑はコモンか? 新進気鋭のマルクス研究者である斎藤幸平・東京大学大学院准教授が外苑再開発についてコメントしました。斎藤幸平「企業に商品化される神宮外苑」の大問題 「私有地だから自由」は社会の豊かさを破壊する | 環境 | 東洋経済オンライン 斎藤氏は…

松尾潔氏の「Relay~杜の詩」評を評する

松尾潔氏の評 音楽プロデューサーの松尾潔氏がサザンオールスターズの「Relay~杜の詩」、桑田佳祐氏の問題意識についてRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』でコメントしました。桑田佳祐が神宮外苑再開発に異を唱える歌「Relay~杜の詩」に松尾潔もエール - …

花菖蒲ノ會が主流派の神社庁

質問への回答 次のような質問をいただきましたので回答します。 私が所属する〇〇県の神社庁は、花菖蒲ノ會が牛耳っており、最高裁で負けても、当事者はその役職に居座りそうです。その場合、本庁から包括関係を解き、新たに組織した〇〇神社庁と本庁で包括…

外苑再開発は誰のため?

公園は誰のものか 想像してみて下さい。あなたの地区には公園がありません。自分たちの子どもが遊ぶ場所がないのは不憫だと自治会で話し合って、公民館の隣に遊具、花壇、生垣などを設置して小さな公園をつくりました。設立時に一軒あたり2万円を拠出し、さ…

滋賀県における資金不正持ち出し事件

東京都と滋賀県 「中外日報」によれば滋賀県神社庁大津支部で4500万円の不正持ち出し事件が発生しました。持ち出したとされる男性は、すでに奉仕神社を懲戒解雇されているそうです。https://www.chugainippoh.co.jp/article/news/20230915-001.htmlこの事件…

東京都の外苑対策から政治手腕を考える

都知事が外苑再開発に待った イコモスの提言を受けて小池百合子東京都知事は具体的な保全策を事業者に要望し、「事業者にはしっかり対応していただきたい」と述べました。 https://www.tokyo-np.co.jp/article/277564 じゃあ今までは何だったのというのが率…

イコモスも学術会議も

おまえのものはおれのもの 電気も水道もない伝統的な住居に住んでいる人がクーラーのある生活をしたいと家を建て直す計画を建てました。あなたは文化的価値の高い伝統的な家を保存したいと思い行動することにしました。住民とどう交渉しますか? 仮に「その…

外苑再開発反対は正義か?

自然保護が正義とは限らない 世界には遠くの水源まで水を汲みにいかないといけない子どもがいます。パソコンの授業で本物がないから黒板にキーボードを書いて使用方法を説明する学校があります。そうした発展途上国が先進国レベルの生活をしたいからと森林を…

総長選任をこじらせているのは何か?

目的は何か? 神社本庁統理という最高権威を擁しながら「田中恆清に社会的制裁をして、新しいリーダーのもとで再出発しよう」という目的を達成できないのは次の2つの理由からです。 目的の一部に無理がある 手段に無理がある 今回はこの点について整理した…

葦津珍彦の論文をもとに本庁問題を考える

40年前の論文 葦津珍彦の著作に「神祇制度思想史につき管見」という論文があります。1983年(昭和58年)だからちょうど40年前の論文ですね。この論文は葦津珍彦が神社本庁講師・教学委員を勇退するに際して、近代から昭和58年までの神祇制度と思想の大綱を論…