神道研究室

在野の神道研究者が神社の問題に鋭く切り込みます

全国神社スカウト協議会をめぐる風説について

諸々の問題と疑問

今回は「自浄.jp」の全国神社スカウト協議会をめぐる記事について検討したいと思います。

まず「自浄.jp」の記事は月刊総合情報誌『選択』HPの転載です。しかしながら「選択」HPの記事は会員のみが閲覧できるようになっていますので、「自浄.jp」が転載(画像をスクショして貼り付け、かつ文章の全文を転載していること)について、選択出版株式会社の許可を得ていないのであれば法的に問題があります。

仮に許可されたのであれば、どのような経緯で許可されたのかについて興味が湧きます。有料記事の「全文」転載許可が相次げば、有料にしている意味がなくなりますから、簡単に許可される話ではないでしょう。

レセプション経費

本題に入りますと、全国神社スカウト協議会の「レセプション」で150万円以上の経費がかかったことが批判されているのですが、皇族ご臨席のレセプションパーティなら150万円くらいはかかるのは当たり前じゃないですかね?

そもそも「レセプション」とはゲストを招待するオフィシャルなパーティです。ましてや皇族がご臨席されるとなれば、粗相がないように、その地域で最も格式の高い会場を確保し、最高級のフルコースの料理をお出しすると考えるのが当然です。

今回は伊勢ですから、候補地としてまず考えられるのはサミット会場にもなった志摩観光ホテルです。HPで志摩観光ホテルのディナーコースの金額を調べると、一番グレードが高いもので1人前41,000円です。19,800円のコースもありますが、皇族のご臨席を仰ぐ以上、最高ランクのものをご用意したいと思うのが日本人として普通の感覚ではないでしょうか。そうすると食事代は20人で82万円、30人で123万円です。これに会場費やドリンク代、給仕スタッフの費用が加算されれば150万円くらいにはなるでしょう。

仮に志摩観光ホテルで試算してみましたが、他のホテルであっても最高級のコース料理を注文すれば同等の費用はかかります。費用としてはほかに控室、運転手や随員の方への食事などもあります。

このように皇族をお招きしてのパーティであれば費用が150万円以上かかるのは決して不当な金額ではありません。少なくとも150万円が不当な金額か妥当な金額かは、会場、人数、料理のグレードなどの詳細情報がないと判断できません。

不確定情報が多過ぎる

会場も人数もわからないまま、150万円という金額だけが独り歩きしていますが、それだけでは不当に高い経費であったのかは判断できません。また神社スカウトの大会そのものは神社本庁主催ですが、レセプションの主催が神社本庁であったのか、全国神社スカウト協議会であったのかについても不明です。また役員の辞任について体調不良や引責辞任などの風聞が記されていますが、こちらも不確定情報です。このように総じて風説の域を脱していません。

仮に内部で紛糾したのであれば、それは事前に見積もりをとって、関係者で情報共有し、予算組みができていなかったということでしょう。予算オーバーの不始末をどうするかは役員会で議論し、総会の審判を仰ぐことであって、社会的に制裁を下すような問題でもありません。