庁規から独立できない憲章
花菖蒲ノ會は神社本庁憲章が宗教団体神社本庁の最高法規であり、憲章に基づき神社本庁を運営せよと主張しています。
しかし、憲章には誰が評議員になるのか一切書かれていません。それが書いてあるのは庁規です。つまり庁規がないと誰に評議員の資格があるのかわからないから評議員会が開催できず、評議員会が開催できないと統理も理事も決まらないから役員会も開催できない。憲章だけだと神社本庁の運営はできないのです。
したがって花菖蒲ノ會が主張する「憲章に基づいて宗教団体の統理として総長を指名する」という理屈は論理的に不可能です。宗教団体としても庁規がないと組織運営できないのです。
憲章を軽視?
日本の最高法規は日本国憲法です。憲法をもとに民法や刑法などあらゆる法律が定められています。
しかし、判決を見ると憲法に一切言及しないケースがたくさんあります。なぜかといいますと、民法や刑法など憲法の下の法律だけで解決できるのに、わざわざ憲法に言及する必要はないからです。
神社においても身内に不幸があったときに、服忌に関する規程だけを見て忌引きの日数を判断しますよね。わざわざ憲章に言及しません。だからといって憲章を軽んじているという話にはなりませんよね。
一連の裁判で憲章に言及しないことは憲章を軽んじていることにはなりません。憲章の下の庁規で解決できるから憲章に言及しなかっただけの話です。
それって虚偽申請ですよ
庁規だけではなく、憲章を合わせ読むことで本当の解釈がわかる。このような主張をする人もいるかもしれませんが、それってコンプライアンス的に大問題ですよ。
神社本庁は庁規の認証を受けて宗教法人になりました。庁規に基づいて運営すると国家と約束して宗教法人として権利を得ています。
認証を得ていない憲章で庁規の解釈が変わるのであれば、神社本庁は所轄庁に虚偽申請をしていることになります。
憲章にも庁規などは憲章に基づいて定められたことにすると明記してあります。だから憲章と庁規の内容が異なるということはないし、憲章を合わせ読むことで解釈が変わるなんてこともあり得ません。あってはならないのです。
だから総長選出は庁規だけで解決できると裁判所は判断した訳です。