氏神さまにお参りしよう
そうすると「私の氏神様はどこ?」と悩む人が出てきます。
今回は氏神神社の調べ方について解説していきます。
そもそも氏神さまって?
「氏神」という言葉は時代によって変化してきました。
現代においては以下の3つの意味が合体しています。
- 氏族が祀る神・・・・・・本来の意味の「氏神」
- 生まれたところの神・・・産土(うぶすな)
- 住んでいる地域の神・・・鎮守(ちんじゅ)
転居が多くなった現代においては、実質的に「氏神=鎮守=住んでいる地域の神」と考えればいいでしょう。
鎮守の探し方
インターネットだと「神社本庁(神社庁)に電話して、住んでいる住所を言えば、どこが氏神神社(=鎮守)か教えてくれる」という書き込みが多く見られますが、神社本庁や神社庁でもわからないことがあります。
なぜわからないのでしょうか?
「この地域の住民の鎮守は〇〇神社」という区域を「氏子区域」といいます。「氏子区域」は江戸時代からの慣習によって成り立っています。
これに対して、私たちが使用している「住所」というのは明治時代以降に、行政が氏子区域を考慮せずに「○○市××町△」と決めました。
だから同じ「△」という地名のなかに2つの氏子区域が存在するというケースが発生しました。そのため住所を聞いただけでは氏子区域が判断できないケースが多く存在します。
結論としては地元の神職や氏子総代、自治会役員に聞くのが確実でしょう。
神社本庁に電話しても
という風に紹介されることになるので、最初に都道府県神社庁に電話して
「自分がどこの氏子区域か知りたい。神社庁でわからないなら地元の神職を紹介してほしい」と質問するのが手間が少ないでしょう。
初詣に行きたいからと年末に神社庁や神社に電話しても、忙しくて電話に出られない可能性が高いので、調べるのは早めにしましょう。
鎮守は氏神ではないという意見について
そもそも氏神と産土、鎮守は別の意味でした。したがって「神社本庁が言っているのは地域の神なのだから鎮守と言うべき」と主張する人もいますが、言葉の意味というのは時代によって変化していきます。神社本庁が「鎮守」のことを「氏神」と表現しはじめたのであれば妥当な批判でしょうが、もう江戸時代には「鎮守」のことを「氏神」と称するようになっていた訳ですから、神社本庁に文句を言っても仕方がありません。
神社本庁や神職もそれを承知の上で、一般になじみの深い「氏神」「氏子」という用語をあえて選択している訳です。
「氏神」や「氏子」という言葉が生まれた時代と現代では社会は大きく変化しました。古代の「氏族」のつながりはほとんどなくなっていますし、生まれた土地で一生を終えるのケースも少なくなりました。こうした社会の変化から「氏神」に「産土」や「鎮守」という意味が含まれるようになった訳です。
神社本庁が「氏神さまにお参りしましょう」というフレーズで主張したい点は、「あなたが住んでいる地域をお守りして下さっている神様に感謝し、引き続き守っていただけるようにお祈りしましょう」ということです。
氏族の神と産土を探す
氏族の神を探すのは極めて困難です。というのも苗字(家の名)から氏が特定できるとは限らないからです。
産土神について、病院で生まれた場合はその病院を氏子区域とする神社が産土神社に該当することになります。
どちらも探して崇敬することは立派な心掛けでしょうが、現在住んでいる地域の神社への崇敬が不十分なのに無理してまで探す必要はないでしょう。少なくとも古典的な神道の本には「氏族の神や産土の神を何が何でも探して信仰しなさい」とは書かれていません。